「ブルックリンでジャズを耕す 52歳から始めるひとりビジネス」大江千里著【感想】

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前作に心が震えた私は、次作である「ブルックリンでジャズを耕す」を拝読。「人生は小説より奇なり」という言葉がさす通り、誰一人として同じにならない人間の生き様は、作られた物語よりも興味深い。

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ブルックリンでジャズを耕す

ブルックリンでジャズを耕す 大江千里著

ニュースクール大学を卒業し、ニューヨークでレーベル「PND Records」を立ち上げてからのエッセイがまとめられた一冊。各コラムのタイトルには大半ジャズのスタンダーソングがふられており、巻末には簡単な解説も。

ピース(愛犬)との日常、元同級生や恩師との再会や友人との交流、街、ジャズとの関わり。一人でビジネスをしていくにあたっての、お金に関する考え方。日本でのポップシンガーとしてのキャリアは、音楽でも人間関係でも大きな礎になっているのを感じる。

いわゆる生活の中で感性を紡いでゆく女性のエッセイとは違い、彼のエッセイは目標に向かって泥臭くも一歩ずつ前に進み、自分を磨き上げて行く過程を記録しているような、まるで「JAZZ」そのもの。

前作と比べて、ある程度の出来上がった感と安心感があり、エキサイティングな場面は少なめ。それでも、詩の才能あふれる彼の放つ言葉たちは、想像力と暖かみ、希望を与えてくれる。

舞台は「タッパ(高さ)x前っつら(幅)x奥行き」でできた3次元の世界だ。ここで有機的に作られる世界は現実のようであって現実ではもはやない。全てが研ぎ澄まされたフェイクの塊であり、限りなく現実に近い精巧なジオラマだ。その禍々しい世界を、人はどこか透かし咀嚼して見ているところがある。そしてその先の落としどころをどこにするかを密かに探している。うまい嘘にとことん「だまされたい」だからだますならばとことんやってほしい。

ブルックリンでジャズを耕す 169頁

好きだからこそ必死になりすぎない。一番大事な卵は割れないように力を入れて握らない。それが僕にとっての音楽だ。

ブルックリンでジャズを耕す 331頁

人生はそれほど悪くなく、進む。そして悪くないばかりか、宝探しをあちこちに用意している。

ブルックリンでジャズを耕す 341頁

途中「新月の断食」を実行したり「水星逆行」をネタにするあたりは乙女座らしく、思わず親近感を感じてしまう(彼は9月6日の乙女座。数秘LP22 D8 S2 P6)。そして、彼はしょっちゅう好物のメキシコ料理「モレ」を食していて、そこまで美味しいのなら一度試してみようとまで思えてくる。これはきっと乙女座シンパシー

ブルックリンでジャズを耕す 大江千里著

音楽は人生を深く生きるためのテキストブックだ。練習をし知識を増やし技を覚え、また練習する。そして今、僕は過渡期にいる。次の次元に行くためもがいてる。60歳から始まるであろう新しい”青春”に向かって。

ブルックリンでジャズを耕す 343頁

小さな自我が想像する「思い通り」にいかないと、悩むこともある。

これで「正しい」のだろうか。

これは自分が本当に望むものなのか。

人生をどう生きるのか。

名前にはある種のヒントや願いが隠されているかもしれない。

僕の名は「1000個のふるさと」と書く。これからもそれを増やしていく。

ブルックリンでジャズを耕す 347頁

ブルックリンでジャズを耕す 大江千里著

次にニューヨークに行く時は、大江千里氏のプレイを聞きに、トミジャズへ行こう。

▶︎ 大江千里氏のnote

▶︎ 大江千里氏オフィシャル 

Nozomi.